最近、珍しくテレビで夕方のニュースを見ていたときに、ちょっと話題になったこのドレスの色。
もう皆さんご存知ですかね。^^;
色を仕事にしている者としては、スルーできない話題なので、私なりの見解をまとめてみました。

さて、このドレスは何色でしょうか?見えたままをお答え下さい。
GoldWhite_or_BlueBlack_small
この画像は、見る人によって、大きく分けて次の2通りに分かれるそうです。

①白地×金色のストライプ模様
②青地×黒のストライプ模様

私は、はじめて見た時は①に見えました。一緒にいた息子も①でした。
同席していた夫は、②にしか見えないと言い張ります。
同じテレビの画面を見ていたので、見えていたものは同じはずなのに…。

その後、気になって夕方もう一度ネットで検索して見てみると、なんと!②見えました。
そして、実際のドレスの色も②であるということが分かりました。
不思議だなぁと思うとともに、「私の視覚大丈夫かな!?」と不安になりました。
お客様へのカラー診断で、このようなことが起きたら一大事ですから。

見え方の違いの正体は色の恒常性

なぜ同じ画像なのに、人によって見え方が違うのか?
その理由が知りたくて、その後いろいろと調べてみました。
調べた結果、この現象は「色の見えの安定性」によって説明することができることがわかりました。
私達は色に限らず、明るさ・大きさ・形でも、できるだけ安定的に見ようとする傾向を持っています。
これを「恒常性」と呼んでいます。
恒常性には「色の恒常性」と「明るさの恒常性」がありますが、このドレスの写真は2つの恒常性が同時に生じた例だと考えられます。
視覚システムが網膜像に含まれる情報を補正して、できるだけ安定的な視覚世界を維持するような仕組みが働いてしまう為、人によって、または時間や体調など微妙な変化で認知される色が変わってくるというわけです。

万有引力の法則で有名な物理学者、アイザック・ニュートンは「光に色はついていない」という言葉を残しています。
この言葉の真意は、光には色はついているわけではなく、光によって私達の内部に生じる感覚が色を見せているということを表しています。
つまり、色そのものが私達の内部感覚であるということが、ずっと昔から分かっていたということになります。
ニュートンすごいですね!!
今回の一枚の写真で、ずいぶんと色に関する知識が深まったとともに、やっぱり色って魅力だな~と思った次第です。

カラーリストの服が地味なワケ

ところで、話は変わりますが、一般的に「カラーリスト」と言うと、なんとなく派手な色調の服を着てそうなイメージありませんか?
私はイメージコンサルの一環で、カラー診断をさせていただいておりますが、サロンでお客様をお迎えする際はとっても地味~な服で迎えします。
それこそ、モノトーンだったり、控え目なネイビーだったり。
これは、カラー診断をする際に、余計な色情報を入れたくないからです。
色は状況によって見え方が違ってくるというのは説明済みですが、なるべくそういったリスクを低くして誤診を防ぐための手段なのです。
「カラーリストだからさぞかしカラフルな色の服を着ているんだろうな~」と思っていらっしゃると、少しガッカリされるかもしれません。(汗)

今日はなんだか、ちょっぴり小難しい感じになってしまいました。
このような色彩理論は、色彩検定2級、1級の範囲で勉強する内容になります。
色彩学は本当に奥が深く、特に知らなくても生活に困らない知識ですが、知ると楽しい学問です。